『どろろ』を巡る冒険或いは私的備忘録

「どろろ」を中心に「手塚作品」の記事を掲載。カテゴリーは【書籍・舞台・表現規制・どろろのあゆみ・どろろに影響を受けた作品・「神話の法則の三幕構成」で解析する「どろろ」・ブラック・ジャック、ロボトミー抗議事件・ジャングル大帝、黒人差別抗議事件】

「どろろ」に影響を受けた作品  『第三回 KID-鬼童ー』

 

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藤原カムイ作品集・クリップ 】平成2年9月16日発行 株式会社スコラ に収録。
「スピリッツ」に連載されていたが「スピリッツ」が隔週から週刊化後に「FOR・YOUNG」へ移動。しかし再開後「FOR・YOUNG」が2号で廃刊、そのまま途中で連載終了となる。

 

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【 あらすじ 】
 地殻変動で中国と日本が陸続きとなり、二つの国が一つの大国となっていた遠い未来? ある時期より感染症が流行し始めた、この細菌に感染すると血液が汚染され遺伝子が破壊される。主人公「KID」の両親は日本から中国に招かれ治療方法を研究していた研究者。
 そして「KID」の母親は特殊な血液を持っており、その血液に含まれる抗体で血清を作り患者を治療する為に自身の血液を提供していた。
「KID」が母の胎内にいる間も研究は継続され、母はより多くの人を助けたいと予定より多くの血液をこっそり提供し、その結果「KID」は身体を欠損して生まれ、培養液の中で成長、後に「KID」は父から機械の体を与えられ自由に動けるようになる。
 しかし、出産時の母の死や自身の出生に疑問を抱いていた「KID」は父に恨みを持っており、父を殺して研究所を逃走する。
 逃走先の街でも暴れる「KID」は老師と孫娘のミウリンと出会う。
 機械の体で暴れ回る「KID」は強かったが老師の功夫には敵わず取り押さえられ、老師の下で修行を始める。

 

 お話は『どろろ』に着想を得て『西遊記』をベースに展開する予定だったそうですが、天竺への旅が始まる前に「FOR・YOUNG」が2号で廃刊して終了してしまいます。
「FOR・YOUNG」に移ってからは、
 母親と同じ抗体を持つ彼の血液を狙う町の有力者が現れ、その手下に狙われたり、 
 死んだと思われた父がサイボーグ化して登場、 
 彼と同じ人工心臓を持つ美少女ミウリンとのあれこれー
 と、装いも新たに盛り上がりを見せた再開だったのですが、
 良い所で終了しているのが惜しまれます。
 最後に《『雷火』が終わったらもう一度充分な取材をして再開するつもりでいるので、記憶の片隅にでもとどめておいて下さい。何年先になるかわかりませんけど 》
と、藤原カムイ先生が結んでいますが、
 望みは薄そうです、残念 …