『どろろ』を巡る冒険或いは私的備忘録

「どろろ」を中心に「手塚作品」の記事を掲載。カテゴリーは【書籍・舞台・表現規制・どろろのあゆみ・どろろに影響を受けた作品・「神話の法則の三幕構成」で解析する「どろろ」・ブラック・ジャック、ロボトミー抗議事件・ジャングル大帝、黒人差別抗議事件】

どろろのあゆみ【22】TEZUKAスポット

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 1990年代を経て、2000年代初頭は【 手塚治虫ワールド・エンターテイメントスクエア 】を始め、全国に8ケ所に手塚キャラクターのグッズショップがありました。また、宝塚市の手塚記念館以外に京都駅内に【 KYOTO手塚治虫ワールド 】があり、オリジナルアニメ作品を観ることができました。

 

 【 宝塚市手塚治虫記念館 】1994年5月オープン

 手塚先生が5歳から20年間を過ごした宝塚に設立。貴重な資料の展示の他、閲覧可能な図書コーナー、アニメコーナーも併設。手塚グッズや図書が購入できるショップ、喫茶コーナーもあり、手塚ワールドに浸ることが出来る施設。

 玄関正面には手塚スターたちの手形・足形があり「百鬼丸どろろ」の手形も、

 

 【 KYOTO手塚治虫ワールド 】2011年1月16日閉館

 京都駅ビル内にあり、手塚グッズショップのほかに、オリジナルアニメを上映するシアターとミニライブラリー・ギャラリーを併設。

 限定グッズが充実していて、駅ビル内とアクセスも良かったのですが、2011年に閉館となりました。

 

 【 手塚治虫ワールド・エンターテイメントスクエア 】2005年5月15日閉店

 東京オペラシティ地下1階。初台駅からのアクセスも良く、当時の手塚プロ直営店の中でも規模が最大で商品数も多くグッズが充実していました。

  

 記念館以外の店舗は閉店してしまいましたが、2019年に「アトム堂本舗」が浅草にオープンし、豊島区南長崎に復元された「トキワ荘ミュージアム」とともに新たなファンの憩いの場となっているようです。

 

 【 アトム堂本舗 TEZUKA OSAMU SHOP&CAFE 】

 〒111-0032 東京都台東区浅草2-7-13 ℡:03-5246-4891

 2019年7月5日、浅草西参道商店街にオープン

 定休日:毎週木曜日

 1F:キャラクターグッズショップ

 2F:カフェ

 3F:多目的スペース

 

 【 豊島区立トキワ荘マンガミュージアム

 〒171-0052 東京都豊島区南長崎3-9-22 ℡:03-6912-7706   

 2020年7月7日、南長崎花咲公園内に「トキワ荘」を模して復元された博物館

 定休日:毎週月曜日 ( 祝日の場合は翌平日 )

 1階にはマンガラウンジがあり、トキワ荘所縁の作家の作品を閲覧できる。

 2階は、当時の漫画家の部屋、共同炊事場やトイレが再現され、写真撮影コーナー・体験スペースも有り、

 警視庁新宿署の記者クラブで保存されていた「トキワ荘の天井板」、ジオラマ作家・山本高樹氏制作のトキワ荘ジオラマが展示。

 

 また、旧アニメセンターオフィシャルショップが 2017年4/5にリニューアルし、

【 TOKYO・ATOM 】がオープン。アニメ・キャラクターグッズが充実した店舗となっています。( 通販も有り )

 定休日:毎週月曜日 ( 祝日の場合は翌平日 )

 千代田区外神田4-14-1・秋葉原UDXビル ℡:03-5297-7470

 

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これは「手塚治虫マガジン」掲載のスポットガイド、

 

 

 ここからは、手塚先生逝去後、手塚プロダクションの市場展開を時系列で纏めたものになります。キャラクター商品・アニメ放送・リメイク・展覧会、etc …

ーと、多岐に渡っているので漏れも有ると思いますが、生暖かい眼で御覧下さい。

 

 1989:『青いブリンク』NHKで放送開始

1989:『ジャングル大帝テレビ東京系で放送開始

1990:国立近代美術館で大規模な “ 手塚治虫展 ” 開催

1990~1991『三つ目がとおるテレビ東京系で放送、全48話

1991:“ 手塚治虫劇場 ” 手塚アニメ一挙上映、池袋で開催

1992:“ 手塚治虫のガラスの地球を救え ” サンシャインシティで開催

1993:“ 私のアトム展 ” ラフォーレ原宿で開催

1993:OVAブラックジャック』発売

1994:「手塚治虫記念館」宝塚市にオープン

1995:“ 手塚治虫・過去と未来のイメージ展 ” 開催

1996:映画『ブラックジャック』松竹系で公開

1996:公式HP「Tezuka Osamu World」開設

1997:“ 北京写楽スタジオ ” 開業

1997:『ジャングル大帝』松竹系公開

1998:手塚治虫生誕70周年・手塚プロダクション創立30周年、100年祭開催

1998:8月から9月下旬まで秋葉原に期間限定で “ 手塚治虫ワールドショップ ” 開催

1999:5月 “ 手塚治虫ワールド・エンターテイメントスクエア ” 東京オペラシティにオープン

2000:『陽だまりの樹日本テレビ系放送

2001:『メトロポリス東宝洋画系で公開

2003:『ASTROBOY -鉄腕アトム-』フジテレビ系放送

2003:“ 手塚治虫ワールド ” オープン予定も計画は中止に

2004:『火の鳥』NHK・BS-hiで放送開始

2004:『ブラックジャック日本テレビ系で放送開始

2005:『ブラックジャック -ふたりの黒い医者-』東宝洋画系で公開

2007:映画『どろろ東宝系で公開

2009:“ ジャングル大帝 -勇気が未来をかえる- ” フジテレビ系放送

2009:フルCG映画『ATOM』角川映画系公開

2009:映画『 MW ( ム ウ ) 』ギャガ・コミュニケーションズ系公開

2009:生誕80周年記念 “ 手塚治虫展 -未来へのメッセージ ” 江戸東京博物館で開催

2011:『手塚治虫ブッダ -赤い砂漠よ!美しく』第一部、東映系で公開

2014:『手塚治虫ブッダ -終わりなき旅』第二部、東映系で公開

2015:『ヤング・ブラックジャック』TBS系で放送開始

2017:『アトム ザ・ビギニング』NHK総合で放送開始

2019:「どろろTOKYO MXBS11で放送開始

2020:「ぱいどん」、「TEZUKA2020」第一弾として人工知能による手塚治虫の新作漫画創作プロジェクト

 

 一連の流れを見てみると、手塚作品の ( OVA、劇場版も含めて ) アニメ化・リメイク・キャラクターグッズの商品展開・展覧会等は1990年代後半から活発化しています。これは1993年に「わたしのアトム展」を手塚るみ子氏がプロデュースし、氏が積極的に手塚作品をプロデュースするようになった時期と重なります。

 氏は、2017年3月1日付のWANTEDLY・JOURNAL記事【 新たな手塚治虫は二次創作から生まれる -後世に受け入れられるプロデュース術とは- 】で、

《 たとえば『わたしのアトム展』に参加してくれた漫画家の吉田戦車さん。当時スピリッツで人気に勢いのある作家だったのですが、『吉田戦車手塚治虫の作品をこんなにおもしろく描いているぞ』となって、彼のファンが結果的に手塚治虫にも興味を持ってくれました 》《 同様に、ミュージシャンの細野晴臣さんは手塚の大ファンなのですが、彼が手塚治虫からのインスピレーションで音楽を作ったとなると、その細野晴臣さんに関心のある人が、『細野晴臣のルーツには手塚治虫が欠かせない、じゃあ手塚治虫を読んでみよう』と思ってくれる。私たちは手塚と同時期に活躍した方々を手塚第一世代、手塚に影響を受けて活躍している方々を手塚第二世代と呼んでいるのですが、次の世代の方に関心を持ってもらうために、そういった人たちを立てていくということをしています 》《 その方の創作した “ 何 か ” によって、手塚に関心を持ってもらうという。アートにしても音楽にしても、今やっているいろいろなコラボレーションの企画は、基本的にそこから変わってないですね 》

 と語っており、今後も手塚るみ子氏のプロデュースよる積極的な二次創作作家発掘・リメイクは継続しそうです。

 また、

 大阪観光大学観光学研究所年報『観光研究論集』第16号「コンテンツのテーマパーク化失敗要因 -手塚治虫ワールド計画から中止までの経緯-」によると、2000年代の手塚プロは大規模な手塚ショップ・フランチャイズ展開も視野に入れていた様子です。“ 手塚治虫ワールド・エンターテイメントスクエア ” などの店舗展開はこの流れでしょうか、

“KYOTO手塚治虫ワールド ” の終了等も景気の失速など「失われた20年」が主要因だと思いますが、この論文を読むと他にもいろいろ諸般の事情が有った様に思えますね。

どろろのあゆみ【21】手塚作品関連雑誌など 

 

 

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 月刊誌 「手塚治虫マガジン」

 発行:KKベストセラーズ 2003年5月号から2005年4月号まで、全24号

 手塚治虫作品の代表作と特集作品を毎号再編集して掲載。当時“ブラックジャック”のアニメ化を始め、活発だった手塚作品の市場展開( 手塚キャラクターショップ・新グッズ・企画展示・リメイクなど )も掲載され、情報誌としての側面も有った。

 毎号のゲストも小松左京先生、藤子不二雄Ⓐ先生と豪華で、2004年5月号から永井豪先生の『魔神王ガロン』連載開始。

 この雑誌の発刊で若いファンの取り込みが出来たのだろうか? アンケート結果やお便りコーナーを見ると、11~20代読者の占める割合は41~50代読者に次いで多い( 積極的にアンケート・お便りを送付しているのが若い世代ということもあるのでしょうが … ) アンケート結果が反映されたのか、掲載漫画も号数を重ねる毎に、若いファンに支持されている作品が多く掲載されるようになってきた。

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 月刊誌 「テヅコミ」 

 発行:マイクロマガジン社 2018年10月~ 全18号

 手塚治虫生誕90周年記念で創刊されたマンガ雑誌、『プライム・ローズ』『リボンの騎士』『どろろ』『奇子』『ドン・ドラキュラ』などを人気漫画家がトリビュートして連載、同時に手塚作品も再編集して掲載。限定版には記念メダルが付属。

 

 

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トリコロールLaLa・手塚学園」 

 発行:白泉社 LaLa新増刊の「トリコロールLaLa」に連載された手塚トリビュート、4人の作家が参加( 筑波さくら・呉由姫・樫八重子・田中慧 )

 手塚キャラクターが通う学園で事件がー と、手塚キャラクターで乙女ゲームな展開。後に花とゆめコミックス『手塚学園』として2014年5月に刊行された。

 

 

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 ヤングチャンピオン増刊号 「ブラックジャック・マガジン」 

 発行:秋田書店 2005年5月20日

 永井豪先生の描き下し『ブラックジャック・嵐の夜に-』32P掲載

 嵐の夜、ブラックジャックのもとに次々と患者 ( 手塚キャラクター ) が現れる。

 最後に現れたのは …

 

 

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「COMIC CUE」 

 発行:イーストプレス社 1999年

マグマ大使 地上最大のロケット人間の巻』 著者:島本和彦

 手塚プロ公認の『マグマ大使』の二次創作、

「自分も手塚漫画の主人公なのに地位が低い」と嘆くマグマ大使が、次々と他の手塚漫画の登場キャラクターを倒していく。ただし、アトムは「聖域」なので、後回し。

 島本先生は「手塚治虫×石ノ森章太郎・マンガのちから(2013年)」パンフレット別冊でサイボーグ009の島村ジョーとアトムが共演するトリビュート作品も描いている。

 

 

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「osamu moe to moso」

( オサム・モエット・モッソ ) とは2010年9月から巡回していた展覧会。

 この展覧会では「手塚治虫で妄想する」をテーマに多くの作家の手塚トリビュート作品が展示され、それらのトリビュート作品を使用したオリジナルグッズも多数販売、好評を博した。コミックマーケット79~82・コミティア104にもブース出店し、冊子「osamu moet moso CONCEPT BOOKも販売された。

 どろろのトリビュート漫画は三作品掲載。

・osamu moet moso CONCEPT BOOK1.5 岡崎能士『どろろ

・osamu moet moso CONCEPT BOOK2.0 鈴木小波どろろ・第一話』

・osamu moet moso CONCEPT BOOK3.0 鈴木小波どろろ・第二話』

 

 

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「伝説マガジン」 

 発行:実業之日本社 2001年6月~

 “ 一冊丸ごと復刻マガジン ”

 思い出の名作・埋もれた名作の復刻と『デロリンマン』『まいっちんぐマチコ先生』『ワイルド7』など、名作の新作を収録。筒井康隆先生・塚本晋也氏とゲストも多彩、

 かつてこれらの作品のファンであった中高年男性をターゲットにした紙面構成、

 雑誌「昭和40年男」「昭和50年男」のコミック雑誌版のようなコンセプト?

どろろ』掲載時には、ミステリー作家で高名な手塚ファンである二階堂黎人氏が解説を寄稿。

 

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「COMIC(KON)魂」

 編集・発行:株式会社はちどり 発売:主婦の友社

 2017年9月~発刊 2020年3月号にて休刊

 本格時代劇漫画を掲載し、ターゲットはシニア世代。『どろろ』『佐武と市捕物控』を再掲連載。発刊記念に神田明神にて「5大作家原画展 ( 手塚治虫石ノ森章太郎叶精作池上遼一林家木久扇 )」を開催した。

 

 

「Open Post ( オープンポスト )」 コンテンツ投稿サイトプロジェクト

 2007年11月1日に開設、

 経済産業省の委託により、映像産業振興機構と日本動画協会が「手塚作品を素材として提供、イラストや動画を自由に創作・投稿してもらい、新たなクリエイターの発掘を目指す」として、二次創作を募集するサイトとして立ち上げた。

「作品発表の場の提供」「商業化機会の創出」「クリエイターの発掘」を目的とする。

 ユーザー登録することで、手塚作品のキャラクター・ロゴ・美術デザインなどの素材をダウンロード、それらを使用して二次創作・投稿できる。クリエイターのプロ・アマ問わず、質の高い作品は商業化を検討。( 国内からの投稿限定 )

 2008年9月にはリニューアルされ『天才バカボン赤塚不二夫 )』『テッカマンタツノコプロ )』の投稿が可能になり、2009年9月には『サイボーグ009石ノ森章太郎 )』の二次創作が投稿できるようになったが、広告宣伝が今一つで一般認知が進まず、盛り上がりを見せぬまま終了となった。

 

 公認で使ってOKと言われても「恐れ多い」と感じる方が多かったのかも 、

 

 

どろろのあゆみ【20】「どろろ」以外の手塚治虫リメイク作品

どろろ』以外の手塚リメイク作品を纏めました。

 

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『魔人王ガロン』

 KKベストセラーズ全2巻 著者:永井豪

 月刊「手塚治虫マガジン」で連載。

 ガロンが消えて長い年月が経ち、人々がそのことを忘れかけた頃、宇宙から地球に送られた “ 謎の玉 ” を拾った高校生・明王真は魔神ガロンになる力を得る。しかし、他にも玉の力を得て魔神になるものが現れた。玉の力を使い続けると悪しき欲望のままに暴れだす、という玉の性質から、暴走する魔神・力を悪用する魔神が現れ、町は混乱の渦に … 明王真と力を悪用する魔神たちの闘いが始まる。

 スターシステムを採用し手塚キャラクターが多数登場、

 盛り上がりを見せたところで「手塚治虫マガジン」が終了になり、単行本で完結の予定でしたが、現在も未完です。

 GO先生、何処かで連載再開して下さらないだろうか、

 

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『アトム・ザ・ビギニング』

 小学館クリエイティブ ヒーローズコミックス:全12巻

 原案:手塚治虫 コンセプトワーク:ゆうきまさみ 監修:手塚眞 協力:手塚プロダクション 漫画:カサハラテツロー 

「月刊ヒーローズ」にて2015年1月号から連載開始。

 アニメ化され2017年4月からNHK総合で放送。

 原因不明の大災害に見舞われた近未来の日本。 ー それから5年後、復興が進む日本の練馬大学にロボット開発にすべてを懸ける2人の若き研究者の姿があった。天才コンビ “ 天馬午太郎 ” と “ お茶の水博志 ” は協力して「自我」を持つ人工知能「ベヴストザイン」を開発、それを搭載した自律型ロボット・A106を作成。しかし、彼らの研究室は資金不足、賞金目当てに「ロボット・レスリング」に出場することになる。

 当初はアトム誕生までのストーリーを描くとされていましたが、ストーリーが進むにつれて原作『鉄腕アトム』とのズレが生じた為、今作のストーリーは1969年に起きた事件をきっかけに原作とは時間軸が分岐した世界となっています。

 

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『PLUTO』

 小学館 ビックコミックス:全8巻

ビッグコミックオリジナル」で2003~2009まで連載。 

 監修:手塚眞 プロデューサー:長崎尚志 協力:手塚プロ 漫画:浦沢直樹

 第9回手塚治虫文化賞マンガ大賞 平成17年文化庁メディア芸術祭:マンガ部門優秀賞 第14回星雲賞:コミック部門 など受賞。

 熱心な手塚治虫ファンである浦沢先生のラブコールで実現したリメイク。

 手塚眞氏は《 浦沢さんが相手だとはいえ、さすがに(父の)代表作の『鉄腕アトム』だしって返事を半年悩んだ 》と、許諾までの道のりは長かった模様。

 手塚眞氏との最初の打ち合わせでキャラクターデザイン・ストーリー設定を氏に見せたところ、単なるオマージュではなく浦沢作品としての『地上最大のロボット』を描いてください、と手塚眞氏に言われ、当初手塚画に寄せていたキャラクターデザインは変更されました。アトムをはじめとするキャラクターやストーリー設定に浦沢先生のアレンジが加えられていますが、アトムを始め、あのキャラだと分かるアレンジは流石。舞台設定は当時報道されたイラク戦争を反映したものとなっています。

 2015年に舞台化、2018年に再演されました。

 

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 『ASTRO・BOY 鉄腕アトム

 小学館 てんとう虫コミックス 全3巻 著者:姫川明

 2003年4月からフジテレビ系列で放映開始となった『ーASTRO・BOYー 鉄腕アトム』のコミカライズ、小学館学年誌に連載されたもの。

 

青騎士 -鉄腕アトム青騎士より-』

 角川書店 角川コミックス・エース 全1巻 著者:姫川明

鉄腕アトム』の「青騎士」を現代的解釈でリメイク、

 

『劇団二十面相 VS 七色いんこ

 少年チャンピオンコミックス 全3巻(第一部完) 著者:中谷チカ

 

『Heisei 七色いんこ

 マイクロマガジン社 TCコミックス全1巻 著者:石田敦子

 

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サファイア リボンの騎士

 講談社 KCコミックス全4巻 著者:花森ぴんく・高橋ナツコ

 講談社「なかよし」で、2008年5月号~2009年7月号まで連載。増刊「なかよしラブリー」2009年7月号に完結編が掲載された。

「なかよし」創刊55周年カウントダウン企画、手塚治虫生誕80周年記念企画

 

『新約・リボンの騎士

 マイクロマガジン社 TCコミックス全3巻 著者:武礼堂

 

RE:BORN~仮面の男とリボンの騎士~ 1 (ホームコミックス) コミック – 2014/7/25
出版社: 集英社
手塚治虫 神楽坂淳 フカキショウコ 
リボンの騎士」60周年を記念して、ホーム社のWEBサイトぷら@ほ~むより、7月19日から連載。神楽坂淳がシナリオ、フカキショウコがマンガを執筆。
 巨匠・手塚治虫の名作『リボンの騎士』が、新たな物語で蘇る……!!
 天使チンクの取り違いにより、シルバーランドの国に数奇な運命を持つ2人の子供が生まれ落ちた。1人は、男の子の魂と女の子の魂を持つサファイア王子。もう1人は、魂を持たずに生まれてしまった大公の息子・プラスチック。やがて失われた魂に導かれるように、プラスチックの運命が動き出す ー。

 

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『ダイモンズ』

 チャンピオンコミックス 全13巻  著者:米原秀幸

週刊少年チャンピオン秋田書店にて2006年10号~2008年29号まで連載

『鉄の旋律』を原作としているが、共通点は「親友に裏切られ復讐を誓う」「主人公が両腕を欠損し義手を装着」「義手の動力は超能力」と言った点にとどまる。

 荒廃した近未来を舞台に描かれるSF復讐劇。

 

『三つ目黙示録 -悪魔王子シャラク-』

 チャンピオンREDコミックス:全4巻 脚本:藤澤勇希 漫画:柚木N´

 秋田書店チャンピオンRED」で2016年11月号~2018年5月号まで掲載

 

『三つ目がわらう』

 マイクロマガジン社 TCコミックス全1巻 著者:石田敦子

 

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『ヤング・ブラックジャック

 ヤングチャンピオンコミックス:全16巻

「ヤング・チャンピオン」秋田書店で2011年24号~2019年13号まで連載。

 脚本:田畑由秋 漫画:大熊ゆうご 医療監修:後藤伸正

 2015年10月~TBS系でアニメ放送された

 本作は若かりし頃のブラックジャックこと間黒男を主人公に原作の前日譚的なストーリーが展開。その為、1960年代の世相 ( 安保闘争学生運動ベトナム戦争 ) が積極的に取入れられています。

 2011年のドラマ「ヤング・ブラックジャック ( 岡田将生版 )」は本作品と関係無し、

 

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『こんなブラックジャックはイヤだ』

 発行:小学館 漫画:つのがい 全5巻

 ブラックジャックを中心に手塚キャラクターが多数登場するギャグ・二次創作、

 著者の “ つのがい ” 氏がTwitterで発表していた二次創作。手塚るみ子氏の目に留まり、公式絵師のお墨付きを得てコミック化となりました。

 

『RAY』 

 秋田書店 チャンピオンREDコミックス全7巻 著者:吉富昭仁

 チャンピオンRED2002年10月号~2005年8月号まで連載、

 第2部『RAY -THE OTHER SIDE-』2006年5月号から同年9月号まで連載。

 “ SFメディカル・ヒューマンドラマ ”

 臓器密売組織に目を奪われた主人公・春日野零は謎の医師 ( ブラックジャック ) による移植手術を受ける。移植された眼は透視能力を持っており、成長した零は不可能な手術を成功させる天才無免許医師となっていた。そして、自身の育った臓器密売組織の謎に迫っていく…

 後に実写ドラマやアニメになりました。

『EAT-MAN』の吉富先生による漫画、ブラックジャックは序盤にチラリとしか出演せず、リメイクというには微妙ですが、

 

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『Dr・キリコ 白い死神』 

秋田書店 ヤングチャンピオンコミックス全5巻

原作:手塚治虫 脚本:藤澤勇希 作画:SANORIN

 秋田書店「別冊ヤングチャンピオン」2016年5月号から2018年12月号まで “ 手塚治虫デビュー70周年記念企画 ” として連載。

ブラック・ジャック』に登場する安楽死専門医で、ブラック・ジャックのライバルであるドクターキリコを主人公にしたスピンオフ作品。

 キリコの他、妹のユリが登場するが、ブラック・ジャックピノコなどの主要キャラクターは登場しない。

 

ブラックジャック -黒い医者-』 週刊少年チャンピオン連載

 秋田書店 少年チャンピオンコミックス全3巻 著者:山本賢治

 

ブラックジャック・ガール』

 マイクロマガジン社 TCコミックス全1巻 著者:七野ワビせん

 ブラックジャックが女子中学生に、

 

異世界ブラックジャック

 マイクロマガジン社 TCコミックス全1巻 著者:時丸佳久

 ブラックジャックがおとぎの世界へ転生ー

 

和田ラジヲ火の鳥

 マイクロマガジン社 TCコミックス全1巻 著者:和田ラジヲ

 めくるめく “ 和田ラジヲワールド ” …

 

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『メルモちゃん』

 徳間書店 リュウコミックス全2巻 著者:ふくやまけいこ

 2011~2012年にかけて「COMICリュウ」で連載。

ふしぎなメルモ』をふくやま先生がリメイク、

 手塚キャラクターが数多く登場し、「ロック」が探偵、「百鬼丸」がラノベ作家と、アレンジは大胆ですが、やさしい “ ふくやまワールド ” に癒されるリメイク。

 後に復刊ドットコムで愛蔵版が増補復刊されました、こちらには “ おまけまんが ” で「どろろ」も登場。

 

『TEAM PHOENIX(チーム・フェニックス) 』
少年チャンピオンコミックス( 別冊少年チャンピオン連載 )
著者: ケニー・ルイス
≪ 自然生命体とロボット同盟による大戦から100年。宇宙の9割はロボット同盟が支配する今、シルバーランドの騎士サファイアは、この不条理な世界を打開すべく宇宙海賊を結成!! 写楽やレオを率いてロボット同盟に立ち向かう、スペース・オペラ巨編開幕!!
マンガの神様・手塚治虫が生み出したヒーローたちを、情熱の国スペインの人気コミック作家ケニー・ルイスが熱筆!! 未だかつて誰も見たことのない手塚ワールド爆誕!! ー公式サイトより ≫
 ケニー・ルイス氏が手塚プロダクションとのコラボレーションで立ち上げた新シリーズ。 日本では「別冊少年チャンピオン」(秋田書店)6月号(2021年5月12日発売)から連載される。仏語圏では、ベルギーの出版社デュピュイ社が出す老舗コミック週刊誌「スピルー」で連載。脚本・作画のケニー・ルイス氏はバンド・デシネと呼ばれる仏語圏コミックの人気作家、スペイン在住。

 

 

 ブラックジャック先生の汎用性の高さが … 人気者の宿命でしょうか、

どろろのあゆみ【19】漫画リメイク作品まとめ

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どろろ梵』

 秋田書店ヤングチャンピオンコミックス:全四巻 道家大輔

ヤングチャンピオン」にて2007年12号から2009年5号まで、全38話連載された。

 原作で “ どろろ ” と “ 百鬼丸 ” が別かれてから5年後。 一人、妖怪を探して旅を続ける百鬼丸は、とある橋の上で女の妖怪と出会う。妖怪を倒そうと戦う百鬼丸であったが、その妖怪は “ どろろ ” だった。驚いた百鬼丸は不意をつかれどろろに倒される。「オレはいつか必ずおまえを殺しにいく」と言い残し絶命した百鬼丸は500年後の現代日本に女性として転生。まだ欠損している身体をとりもどすため、妖怪となった “ どろろ ” を殺すため、百鬼丸の旅は続く。

 この作品の妖怪は「怨み」によって存在でき、「怨み」を晴らし浄化されると寿命が尽きる。四十八体の魔物は残り三体 ( 枕返し・赤目・鎌鼬 ) を残して退治されており、残り三体の妖怪が現代でも百鬼丸の右目・右腕・左足を持っているため、この三箇所は欠損したまま、

 オリジナル要素の強いリメイク作品

 

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どろろとえん魔くん』

 日本文芸社・ニチブンコミックス:全2巻 永井豪&ダイナミックプロ

週刊漫画ゴラク」2012年11月16日号に読み切りで掲載された後、2013年2月22日号から連載となる。永井豪先生の「ドロロンえん魔くん」とコラボしたリメイク作品。

どろろ』本作の数年後、美しく成長した “ どろろ ” が主人公。出会った時に自分だと分かる様に百鬼丸と似た格好 ( 男装 ) で百鬼丸を探す旅をする “ どろろ ” は偶然出会った “ えん魔くん・シャッポじい ” と一緒に妖怪退治の旅をすることになり、三人の珍道中が展開する。妖怪に追い詰められ“どろろ ” 危機一髪に “ えん魔くん ” が駆け付けて… が基本パターンで、登場する妖怪が下ネタがらみでお色気テイストが強いのはGO先生なのでお約束、最終回では “ 百鬼丸 ” も登場。

 永井豪先生は手塚先生のテイストを残すのは難しいと考えて自身の作風に寄せた。また、百鬼丸登場以降も描きたかった。と後に語っています。

 

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どろろと百鬼丸伝』士貴智志

《 戦国の世の無常と少年少女の成長を描く戦国バトルアクション 》

進撃の巨人』スピンオフも手掛ける士貴智志先生による『どろろ』リメイク

 リメイク連載の切っ掛けは “ チャンピオンRED ” 新連載開始の打ち合わせで士貴智志先生と担当編集者が好きな作品を挙げていく中、共通して挙がった作品が『どろろ』で、その後『どろろ』をやりたいと士貴先生が提案して決定。と、連載までの経緯を【 虫ん坊・『どろろと百鬼丸伝』連載スタート、士貴智志さんインタビュー 】で士貴先生が語っています。また、現代の読者に対して読みやすい形での落とし込みに気を配りつつ、ストーリー・設定、キャラクターの核は踏襲。現代的なアレンジでスタイリッシュな作品となっています。

 秋田書店チャンピオンREDコミックス:現在3巻まで刊行

 チャンピオンREDで2018年12月号より連載、現在 ( 2020:9月 ) も連載中

 

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『サーチアンドデストロイ』

 マイクロマガジン社・TCコミックス:全3巻 カネコアツシ

 手塚治虫生誕90周年記念書籍『テヅコミ』で連載された。

 “ これは怒りの物語 ” 内戦後、兵士や労働力として大量生産されたクリーチャーは人と共存していたが、それは人との軋轢を招き、クリーチャーは虐げられていた。ある夜盗みを働き、クリーチャーに捕らえられた孤児 “ ドロ ” の前に、人ともクリーチャーともつかない機械の四肢を持つ少女が現れた、少女はクリーチャーに戦いを挑む。身体48箇所をクリーチャーたちに奪われ全身機械の少女「百」は孤児「ドロ」と奪われた身体を取り戻す戦いを始める。

 大戦後のディストピア世界を舞台に展開する “ サイバーパンク近未来SF ”

 この様な作品をみると『どろろ』の持つテーマは “ サイバーパンク ” と親和性が高いと思いますね、おすすめです。

 

 手塚治虫文化賞20周年記念MOOK『マンガのDNA』

 朝日新聞社主催の【 手塚治虫文化賞 】20周年を記念し制作されたムック。
『キングダム』の原泰久、『ヒストリエ』の岩明均、『舞姫 テレプシコーラ』の山岸涼子丸尾末広中村光ヤマザキマリ村上もとか松本大洋石川雅之など、総勢24名の描き下ろしマンガを掲載。山岸涼子×よしながふみ対談。スタジオジブリプロデューサー・鈴木敏夫らが「手塚治虫」との思い出を話したインタビュー記事を収録。

百鬼丸妖魅考』丸尾末広先生の 学ラン“ 百鬼丸 ” と “ どろろ

 

どろろ Re:Verse』
どろろ」を現代ファンタジー・フルカラー縦スクロール漫画としてリメイク。
 2022年12月より日本では『ピッコマ』、韓国では『kakaopage』で日韓同時に配信開始された。韓国スタジオ・テラピン制作で、脚本・絵コンテはイ・ドギョン氏、絵はBean氏が担当。北米、中国、ヨーロッパの主要書店でも順次展開される予定。
≪ 戦国時代に生まれ、妖怪に肉体を奪われた「百鬼丸」。己の肉体の欠片を持っている妖怪を狩りながら、少しずつ体を取り戻していき、現代まで生き残るが…⁉ 都市の闇の中、妖怪を狩りながら生きてきた百鬼丸の前に、突然一人の少女が現れる。妖怪でもないのに、百鬼丸の欠片の一部を持っている少女「ロロ」。百鬼丸はロロとの契約により、残りの妖怪たちを追って最後の狩りに向かう。今度こそ完全なる人間になるために── ≫
ピッコマより

 

 

 

 コミック以外にも映画・舞台・小説・アニメ・ゲーム・二次創作 … と、多くのリメイクがありますが

どろろ』リメイク作品のコンセプトをおおざっぱに分けると、

  • 原作で二人が別れたその後を描く
  • 原作に新たな解釈を加えリブート

の2つになるでしょうか、

 ①は「再会した2人が幸せになった」ストーリーが二次創作には多く、これは辛い時代を生きていた二人に幸せになってもらいたいという “ ファンの祈り ( 願 望 ) ” でしょうか、その流れで分けると “ 現代パロディ ” もこのカテゴリーですね。

 ②公式リメイクは大体これに該当します、解釈違いやテーマの改変も含めてリメイク時には賛否両論有る様ですが『どろろ』という作品の一般認知・新しいファンの獲得という側面も有り… 多くの創作者が「どろろを描いてみたい」と声を上げて居られるので、今後もリメイク企画は有りそうです。

 

どろろ』という名作は、この後もリメイクされ読み継がれて行くのでしょうね。

どろろのあゆみ【18】小説作品まとめ

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『小説・どろろ』 戦乱妖怪ヤング 辻真先:著 北野英明:挿絵

 発行:朝日ソノラマ 1969年

 ( 1978年に文庫版・2007年に映画公開に合わせて復刻出版  )

 旧・アニメ脚本を担当した辻真先先生によるノベライズ。挿絵はアニメで原画を担当した北野英明氏。旧・アニメ放映時とほぼ同時に執筆され、内容・画ともに旧アニメに近く、ジュブナイルである為テンポが良く読みやすい。

 【 復刻版・小説 どろろ 】の「あとがき」で、

《 予定より早くアニメの放映が終わることになって、オンエア中に本を出したい編集部から嵐の催促がきた。そんなこといわれても、肝心の手塚原作がどんな幕切れになるかわからない。だがわかってから書いたのでは、絶対間に合わないことだけはわかっていた。えい、やっちまえ。というわけで、予定調和だがどんな形で原作が終わっても、まあ誤魔化しがきく。そんな方法論で纏め上げたのだけれど  … 》

と、辻真先先生が語ったように、この『小説・どろろ』は原作・旧アニメ終了前に出版されたために原作とは違う点がいくつかあります。

 以下、ネタバレありで違いを上げると、

 

・肉体を取り戻す順序が異なる。

・「ばんもんの巻」で多宝丸が死なない。

・みおが「妖刀の巻」に登場。

・しらぬいが登場しない。

・オリジナルの妖怪登場。

どろろが男の子。

  最後の違いは、大きい様な気が …

 辻真先先生も北野先生も原作を読んで「それはないですよ、手塚先生っ」

となったそうですが、 心中お察し致します。

 また、1969年版には「差別につながりかねない表現がある」として、2007年復刻版ではその箇所が改訂されました。

 

 

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『小説・どろろ』 鳥海尽三:著 表紙切り絵:百鬼丸 ( 渡辺文昭 )

 発行:学習研究社 

 2001年7月「百鬼丸誕生」9月「妖刀乱舞」11月「崩壊大魔城」と全3巻で刊行。

 手塚先生が御存命時に著者の鳥海氏がノベライズの許可を得て上梓された小説、著者は虫プロ文芸部に在籍されていた鳥海尽三氏。

 【 あらすじ 】

 鞍馬に住む明国帰りの医術師・寿海が薬草を採集中に物の怪に襲われる。その時、川上から漂着した赤子を拾う。磐座大明神の加護で難を逃れた寿海は、生まれながらに四肢を欠損した赤子に医術を施す。鞍馬の山中で寿海と家僕の作蔵に育てられた百鬼丸は修行によって念導力を身に付ける。ある夜、夢に現れた魔像に出生の秘密を告げられた百鬼丸は父を探す為、魔像との闘いを決意し旅立つ。

 ・《 コミック原作の許可を得る時、先生は百鬼丸をサイボーグで扱うようにと指示されたが、わたしもそのつもりでいた。社会福祉上の配慮からである 》とあとがきにあり、この小説内では百鬼丸は魔像を倒しても身体を取り戻さない。

百鬼丸の幼名が鬼若。

・琵琶法師の名が「法一」、百鬼丸が琵琶法師から北辰秘鷹剣の技を習得。

どろろと母の再会。

  など、原作の設定を踏襲しつつも、原作とはかなり異なる内容になっています。

 あとがきの最後で鳥海氏は番外編としてオリジナルの『小説・どろろ』を書きたいと綴っておられましたが、2008年に氏が鬼籍に入られ番外編は書かれませんでした。

 

 

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どろろ』 NAKA雅MURA:著 発行:朝日新聞社 2006年12月

 2007年1月公開の実写映画脚本を担当した“NAKA雅MURA”氏による映画のノベライズ、上下巻が同時刊行。

 映画のストーリーで割愛された部分を補完した内容になっていますが、シーンやキャラクターが全く異なる部分もあります。

 どろろが大人で男装した女性である設定は映画と同じで、百鬼丸とほのかな恋愛感情を伺わせる内容となっています。

 

 辻版は児童・少年少女に向けた “ ジュブナイル ” 

 鳥海版・NAKA雅MURA版は、オリジナル・活劇要素の多い “ 伝奇時代ファンタジー ” といった感じでしょうか?

 

 

 

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どろろ -DORORO-』アドベンチャーノベル JICC出版局 1988年2月1日発行

 鳥海尽三・鈴木良武:著 挿絵 ( 切り絵 ):百鬼丸 ( 渡辺文昭 )

 原作『どろろ』をゲームノベル化したもの、

 プロローグから読み始め、各シーン最後に記載された番号の次シーンへと読み進める。各シーンに行先を選択するための指示あれば指示に従う。戦闘ではサイコロを振って基本数値を計算、巻末のしおりにチェック項目を記入。

 お話は原作準拠ですが、

 あとがきで鈴木良武氏が《 執筆してわれわれが面白いと思ったのは、TVだとヒーロー絶対で、うかつに死なせることはできないが、ゲームブックでは、何回も最期を迎えさせることができる点だった 》と語っている様に、

 とにかく、二人がしょっちゅう死にます。

 それはもうバリエーション豊かに …

 ゲームブックどろろ」は中途半端なエピソードで「完」になるので、販売成績が良ければ続巻が刊行されたのかもしれません。

どろろ』がゲームブックに選ばれた理由は《 物語の運びそのものが、ゲームブックの素材として格好のうえ、あまたある手塚先生の作品群の中でも、安定した根強い人気を保っているからという理由だった 》

と、鈴木氏があとがきで書いています。

 

 復刊ドットコムさんで復刊リクエスト投票中

 

 

 購入時に “ どろろ ” だけ書店のゲームブックコーナーに5~6冊並んでいました、人気作品のゲームブック化なので大量入荷されていたのだと … 思います、多分?

どろろのあゆみ【17】2009年「どろろ」米国アイズナー賞・最優秀日本作品賞、受賞

 2000年代は、2001年9月11日に発生した「アメリ同時多発テロ」に象徴されるように、世界各地でテロが多発。政情不安定なアフリカ・中東諸国はもとより、アメリカ・西側諸国陣営で過激なイスラム原理主義陣営が主導するテロが発生、これらは「対テロ戦争」と呼称されました。「アメリ同時多発テロ」発生後、ジョージ・W・ブッシュ大統領は「テロとの戦い」を宣言、アフガニスタンへ侵攻。泥沼の紛争が長く継続することとなりました。
( 2020年2月29日 アメリカ合衆国とターリバーン和平合意 )
 また、中国やロシアは以前より地域内で抱えていたイスラム系民族への弾圧の口実として「対テロ戦争」を利用、現在も少数民族への弾圧は継続、大きな問題となっています。
 経済的には2008年9月アメリカの有力投資銀行リーマン・ブラザースの破綻による金融機関の連鎖的な経営危機に端を発する、株価下落・金融危機・同時不況「リーマンショック」が発生。
 日本では1998年のアジア通貨危機や消費税増税を経て低成長は継続。
リーマンショック」の余波もあり「失われた10年」が「失われた20年」に成る過程でした。「勝ち組・負け組」「ひきこもり」「ニート」「パラサイト」「ネットカフェ難民」などの流行語に象徴されるように日本でも格差社会、世代間の問題が顕在化してきます。グローバリズム新自由主義などの声掛けはあれど、新時代の華やかさよりも、テロの世紀・先進諸国の格差社会問題など、不安定な状況が目立つ「新世紀の幕開け」でした。

 メディア・オタク文化面では、高速インターネット回線が普及し、2005年にはYouTubeが登場、2006年にはニコニコ動画が誕生。これら動画共有サイトと「2ちゃんねる」がメディアとしての大きな影響力を持つ様になり、それまで娯楽の王様であったテレビがその王座から本格的に滑落し始めます。
 2006年には『涼宮ハルヒの憂鬱』がアニメ化「ハレ晴レユカイ」が “ 踊ってみた ” とこれらの動画投稿サイトに投稿され、大いに盛り上がりを見せ、
 2ちゃんねるのスレから発生した『電車男』が小説・映像化。秋葉原オタク文化の中心と認知されるきっかけとなるなど、( 誤解は有っても ) オタク文化の一般認知が進んだ年代であり、オタク層の年齢層がさらに厚みを増し、オタク人口がコンテンツの消費者・市場として改めて発見された年代と言えると思います。
 

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  2004年5月には日経BP社から「日経キャラクターズ」が創刊。ビジネス出版社が発刊、経済的な側面からコンテンツを評価・分析する視点が高く評価された雑誌でしたが、同時期に大人向けのオタクコンテンツ雑誌が相次いで創刊されたため、狭い市場での淘汰が進み、2006年8月号を持って休刊になりました。
 1990年代後半 ( 特に “ 新世紀エヴァンゲリオン ” 以降 ) から
 仲間との情報・趣味のやり取りを「タコつぼ」的に楽しみながらも、社会への影響を意識した積極的な活動も行う、「ライトオタク」層と言えるアングラ・サブカル
「オタクパッシング」以前のオタク層とは、やや趣が異なる “ 層 ” が出現・増加した時代でもありました。

 また、2000年代~ は “ ジャパニーズポップカルチャー ” としてアニメ・マンガ・ライトノベル等の海外での人気・知名度が高まった時期でした。
 外務省のホームページ「わかる国際情勢vol.138:2016年」には “ ポップカルチャーで日本の魅力を発信 ” と対外的なポップカルチャー戦略が紹介されています。
 しかし、マンガ・アニメなどのオタク文化が “ ジャパニーズポップカルチャー ” と、
持ち上げられる一方、
1990年代以降も創作物の表現規制は継続し、
2004年には「指定図書の包装義務化」「表示図書の包装義務化」出倫協は小口シール止め自主規制決定。
2005年に「都青少年・治安対策本部」が発足、中高生向け雑誌の自主規制条項を導入。
2007年には少女マンガの性描写が問題視され、2009年には大阪堺市図書館でBL本排除される等の動きが見られました。

 このような時代背景の中、
 ウィル・アイズナー コミックインダストリー アワード( Will Eisner Comic Industry Awards 以下、アイズナー賞 )を手塚作品が受賞。
( アイズナー賞は米国のコミック業界が過去一年間で特に優れた業績を残した作品・アーティストを顕彰する、米国のコミック業界で最も注目されるアワード。また、長年コミック業界に貢献してきた人物を「コミックの殿堂 ( The Comic Industry’s Hall of Fame ) に加える顕彰活動も行っている )
2002年 手塚治虫、審査員による選出で「コミックの殿堂」入り
2004年 最優秀国際作品『ブッダ
2009年 最優秀日本作品『どろろ
2014年 最優秀アジア作品『地帝国の怪人』

 

 1963年1月より虫プロ制作『鉄腕アトム』放送開始。同年の9月には米国NBC系列のローカルTV局で『アストロ・ボーイ ( 鉄腕アトム ) 』の放送が始まります。
『アストロ・ボーイ ( 鉄腕アトム ) 』は米国でも高い視聴率を得て、日本製アニメ輸出の好調な滑り出しとなりました。放送開始となった1963年は米国の娯楽の中心が映画からTVへ移行する時期で、新たに放送局が設立され多くの番組を必要としていた時期と重なっています。( 1962年には米国のテレビ世帯所有が90%を超えています )『アストロ・ボーイ』の好評価で『エイトマン』『鉄人28号』等も放映され人気を得ましたが、その数年後には日本製アニメの輸出は一時途絶えます。
 その後、1990年代に入り米国ではケーブルTVチャンネルが増加、多くの番組を必要とした為、日本製のアニメが多く輸入され『ドラゴンボール』『美少女戦士セーラームーン』『カウボーイビバップ』等の作品が放映されました。これらの作品が高い評価を得て米国で改めて認知される事となった “ 日本製アニメーション ” は、今も根強い人気を誇る『AKIRA』『GHOST IN THE SHELL-攻殻機動隊』『新世紀エヴァンゲリオン』等を発火点として世界をマーケットに、更に広がりを見せる事となります。
 こうした「日本製アニメ・マンガ」が牽引した2000年代初頭の “ ジャパニーズポップカルチャー ” ブームは多くのファンを海外に獲得。その潮流が「日本アニメ・マンガ」の名作を掘り起こした結果、海外 ( 米 国 ) ファンの日本大衆文化、日本アニメ・マンガの歴史への知的好奇心が高まり、「日本アニメ・マンガ」の情報が米国内で増加。米国で、日本アニメ・マンガの源流として「手塚治虫」が再発見・評価された事が、アイズナー賞・受賞に繋がった近因と考えます。


 

 さて、2000年代初頭からの海外も含めた「手塚再発見」の潮流の中、手塚作品のマーケティングの模索は、

① 年齢の高いファンへ向けて「文芸・芸術作品」として、価格帯も高価なもの
 手塚作品が扱われる雑誌もサブカル・アニメ誌から、やや文藝・芸術寄りに成って行きます、手塚ファンの高年齢化により購読雑誌が変化、商品の購買力が上がったことが背景にあるのでしょうか?

 

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河出書房新社 文藝別冊「総特集:手塚治虫」 1999年5月25日発行

増補・新版 2014年5月30日発行

 

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芸術新潮「特集:生誕80周年記念“手塚治虫を知るためのQ&A100”」

 

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DEAGOSTINI「週刊100人ー歴史は彼らによってつくられたー №017:手塚治虫

2003年10月7日発行

 

 とは言え、手塚先生関連の記事は神出鬼没で多岐に渡っており、ファン泣かせなので、一概にこれらの変化があったとは言えないと考えています。( ここで移行しました、と線が引けるような変化では無いですし )
 サブカル関連が減ったのはバブル崩壊後にサブカル誌がどんどん廃刊になった事もありましょう …

 

② もう一つは若い世代への手塚入門として、手塚作品の「リメイク」「アニメ化」

次回は1990年~のリメイク作品を纏めたいと思います。

どろろのあゆみ【16】『どろろ』映画記事補足

2007年『どろろ』映画公開時
映画公開記念『どろろ』展開催 会場:手塚治虫記念館
2006年11月23日~07年2月20日
どろろ』原画展示・関連商品展示
映画の原画・資料・スチール・衣装などの展示
旧アニメ『どろろ』上映

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 宝塚記念館近くの商店街アーケードに映画『どろろ』のポスターと巨大な横断幕が掲示、原画展示も多数の贅沢な展示内容でした。

 

 

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 また、映画で多くの『どろろ』記事を拝見しましたが、
オレンジページ」で『どろろ』が紹介される日が来るとは思いませんでした、

 

 … ( 旧 ) アニメが見たい、と、思っていた小学生の自分に今の状況を説明しても、
 信じてもらえないだろうなと時々思います。

どろろのあゆみ【16】2007年1月27日『どろろ』映画公開

 映画版『どろろ』2007年1月27日公開

 キャッチコピーは「運命をぶった斬れ」「物語が動き出す」「必死に生きて何が悪い」「アジア発、世界へ -テーマは、“ 正義 ”  “ 勇気 ” そして、“ 希望 ”」「運命を超える旅へ」

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製作:『どろろ』製作委員会
製作プロダクション:ツインズジャパン
配給:東宝 世界24ケ国で配給。
第七回日本映画テレビ技術協会映像技術賞でVFX・劇映画部門を受賞。
制作費20億円、最終的な興行収入は34憶5000万円。
 当初見込まれていた予算より大幅に制作費が超過した理由は、大規模なオープンセット、海外ロケ、現地への機材持ち込みが多く ( 着ぐるみなど、かさ張るものが多かった ) 検疫を含め手間と時間がかかった等、諸般の事情が重なった為と言われています。

 原作と違い、架空の異世界・時代設定を舞台に “ 百鬼丸 ” 中心にストーリーは展開。

【 あらすじ 】

 はるか古か遠い未来かさだかでない時代、東の果てにあるその国では、数十年間の長きにわたって戦が続き国土は荒廃していた。乱世の覇者となるべく魔物と契約をかわした “ 醍醐景光 ” 、父の野望のために身体四十八箇所を奪われた “ 悲運の子・百鬼丸
 己の身体を取り戻すために旅に出た彼は、戦で天涯孤独となった野盗 “ どろろ ” と宿命的な出会いを果たす。戦の業を否応無く背負わされた二人が、未来を掴むために戦乱の荒野を駆け抜ける。

  ロケをニュ―ジーランド・千葉で行い、CG・特殊メイク・アニマトロクスを多用、幻想的な映像が作られました。CGアニメーションでは『ロードオブザリング』シリーズで開発された群衆アニメーション制作プログラムを使用。
 プロデューサーは平野隆氏、監督は『黄泉がえり』の塩田明彦監督、
『映画・どろろ』は当初、三部作で企画されており脚本も三作目まで完成していたそうですが、主演の二人の破局もあり、キャストスケジュール調整も含め諸問題も多く、続編制作は厳しそうです。
 ワイヤーアクションを『少林サッカー』のチン・シウトン氏が監修
( “ 醍醐景光 ” 役の中井貴一氏は舞台『陽だまりの樹』1992・1995・1998年で “ 手塚良庵 ” を演じた。舞台『陽だまりの樹』脚本は『新浄瑠璃百鬼丸』の横内謙介氏 )


 

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どろろ:ナビゲートDVD -序章-』 2006年12月22日発売
ユニバーサルピクチャーズ・ジャパン 
映画公開前に販売されたナビゲートDVD・1枚組
メイキング、トレーラーなど収録

 

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どろろコレクターズ・エディション -初回限定盤-』 2007年7月13日発売
ユニバーサルピクチャーズ・ジャパン
特製アウターケース、ブックレット、特典ディスク3枚 ( 合計4枚組 )、手塚治虫マガジンミニコミック版『どろろ』 プレスシート縮小版 ( カラー16P )
特典ディスクは劇場未公開シーン、メイキングドキュメンタリー、フォトサウンドストーリー、プロモーション全記録、公開直前番組完全版、試写会映像、シークレット映像も収録。( 特典ミニコミックはセガトイズから発行されたミニコミックと表紙違いの同じもの )

 

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どろろ -通常版-』 2007年7月13日発売
ユニバーサルピクチャーズ・ジャパン
1枚組・初回限定特典はホログラムジャケット
特報・劇場予告集、TVスポット、プロモーション映像を収録。

 

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どろろオリジナル・サウンドトラック』 2007年1月24日発売
トイズファクトリー

 

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どろろ -完全図絵-」2007年1月13日発行 ( 株 )メディアファクトリー
 映画の公式ガイドブック、登場人物解説、インタビュー記事、メイキング解説、妖異魔物全図、原作『どろろ』完全解説など
 “ 原作『どろろ』完全解説 ” は、冒険王版や『どろろ』の原型と言われる『光』にも言及しており詳細、原作ファンにも楽しい内容になっています。
 インタビューで、塩田監督は「 …だからこそ僕は「どんな映画を撮りたいですか?」「と聞かれるたびに「『どろろ』」と答えていたんです。監督としても制作者としても挑戦だし、ぜひやりたい。でもムリでしょ? という意味で ( 笑 ) 」と語っています。

 

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2006年12月7日、映画公開前に映画脚本を手掛けた “ NAKA雅MURA ” 氏によるノベライズが出版されました。

 

2007年映画公開時に「テヅカモデルノ」も発表され、多くの手塚キャラグッズが販売されました。

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・『どろろ』ストラップ等ローソンで限定販売
・XYLITOL10周年記念キャンペーンの景品に採用

 

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2007年3月30日~4月11日 
渋谷パルコ・ロゴスギャラリー
Tezuka moderno 絵本シリーズ出版記念
“ Hello Hello Hello ”絵本原画展開催
・グッズの先行販売
ロゴスギャラリー限定グッズ販売
・ワークショップぬりえ会

 

 

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どろろ』映画化で、テレビCMはじゃんじゃん流れるわ、番宣で主演二人をほぼ毎日見るわ、雑誌・新聞はもちろん、都内のフリーマガジン・ペーパーに「全部じゃね?」と思うほど広告が掲載されるわ、 

ゲームで「時代は変わったな …」と思っていたら、足元をすくわれた感じでしたな … ( 遠い目 )

百鬼丸 ” のポクポン人形とか販売されたのも、映画化の “ いきおい ” みたいなものだったのでしょう、 

 

 

どろろのあゆみ【15】ゲーム関連

どろろ』のいろんなゲーム? を御紹介、

 

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『1969年6月号「冒険王」付録・どろろゲーム』
どろろ:お守り」も付属

 

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手塚治虫のSF未来世界ゲーム・エポック社

 

 

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ブラックジャック火の鳥編』 2006年11月9日発売
ニンテンドーDS 発売:SEGA
ジャンルは “ マンガアドベンチャー
 ブラックジャックが主人公のアドベンチャーゲーム

 タッチペンを使って “ 神の手 ” で手術し、事件を解決していく。スターシステムを採用し、手塚作品でおなじみのキャラクターが多数登場。『どろろ』からは百鬼丸どろろが、父の出世欲の為、身体48ケ所を移植手術することになった患者「醍醐百鬼」と腹違いの妹で臓器提供者の「道瑠 ( みちる )」として登場。
“ 手 術 ”がまさかのリズムゲームだったので、反射神経が皆無の私は “ 神の手 ” になれませんでした …

 

 

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『手塚スターシステム・トランプ』
いろいろお遊びがあって楽しいトランプ。

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手塚治虫生誕90周年記念タロットカード』も発売されました。

 

 

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手塚治虫キャラクターズパッケージ・どろろ

 

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手塚治虫キャラクタータンブラーズ・どろろ

PS2版ゲーム「どろろ ーDORORO-」が発売された時期には手塚作品のクレーンゲーム景品を多く見かけました。

  

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PC版ゲームソフト PC-8801  1989年1月10日発売
クエイザーソフト制作・販売 ジャンル:アドベンチャー
ストーリーは原作最終回で別れた “ どろろ ” と “ 百鬼丸 ” が数か月後に再会、再び旅に出るところから開始。スターシステム ( ? ) で、他の手塚作品のキャラクターや手塚先生ご本人が登場、“ どろろ ” のメルモちゃんのキャンディイベントシーンが有名。

 

『アトム時空の果て』

200体以上の手塚キャラクターが集結するカードゲーム
『アトム:時空の果て(Astroboy: Edge of Time)』は、2018年の手塚治虫生誕90周年の記念作として、サービス配信が2017/04/12に開始、2018/03/29 11:00 サービス終了したオンラインゲーム。ゲームの企画および開発は、株式会社アクティブゲーミングメディア。
【ジャンル】本格対戦トレーディング・カードゲーム
【プラットフォーム】:App Store, Google Play, Steam(PC)
マグマ大使』『火の鳥』『ブラック・ジャック』『鉄腕アトム』など手塚作品のキャラクターを収集して、ユニット編成し、サイバーパンクの世界観で敵と戦う対戦型トレーディングカードゲーム(TCG)、プロジェクト監修は手塚眞氏。
どろろ』からも多数のキャラクターが参加、

 

『絵師神の絆 (えしがみのきずな)』

手塚治虫作品キャラクター美少女化プロジェクト
2020年4月7日(アトムの誕生日)にサービスを開始、2022年9月30日にサービスを終了した、株式会社コンパイルハート開発のスマホゲーム。手塚プロダクションが全面協力したターン制のRPG
シナリオ担当は実弥島巧氏と近江真一氏
キャラクターシナリオは北島行徳
アトムやブラック・ジャックなどの有名なキャラクターからマイナーな作品や初期のスターシステムのキャラまで、幅広い手塚作品からキャラクターを美少女化。『どろろ』からは「九尾の狐」「百鬼丸」「多宝丸」が参戦。

 

天下統一STG「戦国布武」と新アニメ『どろろ』コラボイベント
2022年5月1日から6月30日までコラボイベント開催。

 

PS2版ゲームについては【 どろろのあゆみ ⑭ 】にまとめています。

どろろのあゆみ【14】2004年9月9日:PS2版ゲーム「どろろーDORORO-」発売

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2004年9月9日にSEGAからPlayStation2用ソフト『どろろ -Dororo-』発売
ジャンルはアクションアドベンチャー
CERO:15歳以上
企画・シナリオ・設定はレッド・エンタテインメント
キャラクターデザイン:沙村広明
魔人・妖怪デザイン:前田真宏
題字・美術設定:雨宮慶太

【 あらすじ 】
 戦乱の世を陰で操るのは人の負の心を糧とする “ 魔神 ” 達だった。
 人々を救済するため天の神は “ 光の子 ” を誕生させようとするが、それを察知した魔神たちはその父である醍醐景光を誑かし、生まれてくる子供の身体四十八ケ所を捧げよと詰め寄る、景光の子は無事に生を授かるが、その身体は魔神に奪われ四十八ケ所を欠いていた。慟哭する景光であったが、意を決すると我が子抱えて川へと向かう。
 川に流された赤ん坊は薬草を採取していた医師・寿海に拾われ治療を受け成長。
 赤ん坊が三歳になった時、寿海は精巧な義手・義足など体を与える手術を行う。
 訓練の末、自由に動けるようになったその子供は「百鬼丸」と名付けられ成長する。
 しかし、百鬼丸が成長するにつれて寿海屋敷では奇怪な出来事が増え、怪異が出現するようになった。そして、十八歳になったある日、百鬼丸は出生の秘密を不思議な声から告げられる。「 … 体を奪った魔神を倒すか、奪った体で造られた「人間」を探し出して倒せば身体を取り戻すことが出来る」
 こうして、魔神を倒すことを決意し、百鬼丸は旅を始める。

 ストーリーは原作を下敷きに展開、後半は原作「冒険王版」の設定を翻案したオリジナルのストーリーとなっており結末まで描かれます。
 ゲームのパッケージには、
“ 己の憎しみと、虐げられた人々の哀しみを、刃に込めて叩っ斬る … 四十八の魔神をすべて倒すまで、宿命の旅は終わらない。手塚治虫が描かなかった結末を、オリジナルストーリーで完結! ”
と、あり
 キャッチコピーは、
“ 俺を返せ!”
 この二つがゲームコンセプトの様です。

 以下、若干のネタバレもございますので、未プレイの方はご注意ください。
 好みもあるかと思いますが、良リメイク作品でアクションゲームとしても良ゲーですので、中古屋さんで見かけたら是非。
( R15ですが、怖くもエロくも無いです、血糊は消せたような…?)
 最後にコメント欄にラスボス攻略方法を載せておきます。

 

 四十八体の魔物・妖怪はゲーム内では「魔神」で統一され、オリジナルの魔物も含めてすべての魔神と戦い、身体を取り戻すことが出来るようになっています。原作から名前や設定が変更されている魔神もあり、原作の「無情岬」に相当するストーリーは無いので、本作では「二郎丸・三郎丸・しらぬい」は登場しません。
マイマイオンバ」は隠し魔神で登場、制作陣はストーリー内に入れたかったそうですが諸般の事情で入れることが出来なかった模様。
 オリジナルストーリーでは「賽の目の三郎太」が重要なキャラクターとして登場。
 基本的に「どろろ」がCPUとして追従、戦闘時には自動で攻撃したりアイテムを収集してくれます。2Pプレイでは「どろろ」を操作できます。

 重い設定や描写を排除し「百鬼丸」を主人公としたヒーローズジャーニーをゲームとして上手く成立させています。その為、「火袋」「お自夜」「イタチ」は登場せず、「縫の方」はオープニングに映像があるのみとなりました。「寿海」はチュートリアルで登場。
 また「百鬼丸」の身体・武器は大きく変更され、脚部の「焼水」鼻の「雷玉」は無くなり「上腕火砲・脚部大筒」が義手・義足に仕込まれ、戦闘能力は高くなりました。
( 序盤ではダッシュが出来ず、ダウン、ピヨりの時間も長いのでもっさり感がありますが、身体を取り戻すと解消されます )
 四十八ケ所の部位を取り戻すという原作の設定を生かして、
 目を取り戻すと画面がモノクロからカラーに、感覚を取り戻すとコントローラーが振動するようになる、足を取り戻すとダッシュが可能になる等、原作設定のゲームデザインへの落とし込みが上手く、原作へのリスペクトが感じられます。

「隠し魔人」を残してエンディングを迎えると、残りの魔人の数が表示され、百鬼丸どろろは再び旅に出ます。この時のエンドロールは旧アニメを意識したもので、どろろが可愛いので、真エンディングに行く前に魔神を残して終了することをお勧めします。
( 最終章に進むには、四十八番目の魔神以外をすべて倒しておくことが条件です )
 最終章をクリアするとミニゲームどろろの宝探し」が追加され、宝探しをクリアすると設定画や映像が閲覧できるようになります。

 

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予約特典に冒険王版の漫画小冊子が付属、

 

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直販のセガダイレクトでは冊子以外に、金小僧のストラップ、どろろトランプが付属しました。

 

攻略本は二冊出されており、

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どろろ-魔神討伐極意之書-」ソフトバンククリエイティブ刊行
 第五章の途中までの攻略方法を収録、イラスト・設定画を収録。

 

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どろろ完全攻略ガイド」講談社刊行
 最終章までの攻略方法を収録。マップ・妖怪データ・武器データなど情報は詳細。

 

 ゲーム発売の発表がされた2003年秋の東京ゲームショウではノベルティの「どろろ団扇」ビニール製の「百鬼丸の仕込み刀」が配布され、2004年の夏コミの時期には東京駅で「どろろ団扇」と体験版が配布されました。
 北米版もリリースされ妖怪はビーストと英訳されています。
 劇団扉座「新浄瑠璃百鬼丸」(2004)平成16年6月16日~ 新宿・紀伊国屋ホールで公演時に、ロビーでSEGAのPS2版ゲーム『どろろ  -Dororo- 』のデモ映像が流されました。

 

 1990年代後半 ( 特に “ 神戸児童殺傷事件 ” 以降 ) から青少年の犯罪と「ゲーム」を絡めて語られることが増加し2000年代に入ると「ゲーム脳」「ゲームは子供たちの脳に悪影響」と言われ、「ゲーム業界」にも逆風が吹いていた時期だったと思うのですが、
 手塚作品の評価上昇、
どろろ』が各世代に安定した人気を維持していること、
どろろ』の海外での評価が高いこと、
 などが、ゲーム企画に結び付いた理由でしょうか。
 当時、TVで「俺を返せ!」と毎日CMで「百鬼丸」の映像が流れ、時代は変わったんだなぁ… と、しみじみしたことが昨日の様です。( 寄る年波感 )
 この『どろろ -Dororo-』PS2版発売で、
 多くのファンに支えられながらも手塚作品の「裏玄関」的扱いであった『どろろ』が「表玄関」になった印象は有ります。

 

 

 運動神経も反射神経も搭載されていない私の「アクションアドベンチャーどろろ」クリアまでの道のりは険しいものでしたが、王道展開の『どろろ』ストーリーは楽しく、時間が経つのを忘れてやりこんでいました。ゲームセンスが皆無なのでクリアまで苦労したのですが、 一番腹立たしかったのは “ 魚柱 ” にひれでしばかれてダウンしたときでした… 「魚に、スイスイ滑ってる魚に、ひれで …」って、次点は猫にじゃれつかれて、引っ掛かれてダウン、でしょうか …
 ダウンするアニキを見て茫然とするのも一興ですので、皆様もぜひ!