『どろろ』を巡る冒険或いは私的備忘録

「どろろ」を中心に「手塚作品」の記事を掲載。カテゴリーは【書籍・舞台・表現規制・どろろのあゆみ・どろろに影響を受けた作品・「神話の法則の三幕構成」で解析する「どろろ」・ブラック・ジャック、ロボトミー抗議事件・ジャングル大帝、黒人差別抗議事件】

手塚治虫ゆかりの神社仏閣

※掲載情報が最新情報とは限りません。人気の授与品・御朱印帳は欠品となっている場合もございます。 必ず御自身で事前情報確認の上、ご参拝ください。 【 千吉稲荷神社・せんきちいなりじんじゃ ( 猫神社 ) 】 手塚ファンにはおなじみの『猫神社』 手塚先生…

『シン・仮面ライダー』②

“ ネタバレ” 気にせず書いているので御注意ください。 これまた、映画『シン・仮面ライダー』を観ていないとさっぱり? な内容になっております。 観ていてもさっぱりとも思うんですが … 困ったお兄ちゃんの話です。 【 緑川 イチロー(みどりかわ イチロー…

『シン・仮面ライダー』① 

『シン・仮面ライダー』を観たので、いつもの雑感 ( 雑な感想 ) ネタバレは気にせず書いているので御注意ください。 … さて、いつものように遠いところからですが、 出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 無敵の人(むてきのひと)とは、社…

『メトロポリス』

『メトロポリス』は、手塚治虫氏の同名漫画『メトロポリス』を原作として制作されたアニメーション映画。 登場人物の設定等に変更があり、ストーリーも原作から異なったものとなっている。2001年(平成13年)5月26日劇場公開。 りんたろう監督、大友克洋脚本…

水星の魔女

さて、去年は素敵なアニメ作品が目白押しで、製作スタッフの皆様に感謝しつつ楽しく視聴しておりました。そのひとつ『機動戦士ガンダム・水星の魔女』は『鉄血のオルフェンズ』以来五年ぶりのガンダムシリーズということで放映以前から話題になっており、1…

トビオコンプレックス

文藝別冊【 総特集・手塚治虫 】 河出書房新社・1999年5月25日発行手塚作品を読む・みなもと太郎『トビオコンプレックス』≪ さて、クローン技術は一九九九年現在、一、二の国で「クローン人間」の実験に手を染めた。人間を誕生させたわけではないが、細胞が…

【百鬼丸という子供・⑤】百鬼丸はヒルコか?

「百鬼丸はヒルコか?」「百鬼丸のストーリーラインは貴種流離譚か?」 【 貴種流離譚 ― 日本歴史大事典 】 神の子あるいは尊い血統にある者が、なんらかの事情 ( 罪など ) のために都を離れて異郷をさすらうという話の型。流離し辛苦を極めて悲劇的な死に至…

【百鬼丸という子供・④】百鬼丸はエビスか?

前々回の「妖怪馬鹿 化け物を語り尽くせり京の夜」からリンクして 「百鬼丸はヒルコ ( エビス ) なのか?」です。 さて、いつものコトですが本題から遠いところ『妖怪馬鹿』の続きから、 『 塗仏 (ぬりぼとけ) 』とは? 鳥山石燕の『図画百鬼夜行』では、垂…

旧アニメ『どろろ』は、低視聴率?

Wikipedia『旧アニメ・どろろ』より 【 視聴率低迷による迷走 】 《 ハードな世界観の内容だったが、視聴率的に思わしくなかったため、スポンサーとテレビ局から路線変更の要求が出された結果、第14話以降は前述の通りタイトルも改変され、低年齢層を意識し…

「妖怪馬鹿 化け物を語り尽くせり京の夜」 

【 妖怪馬鹿 】 京極夏彦・多田克己・村上健司 著 新潮OH!文庫 《 妖怪馬鹿 ― お化けを愛してやまぬ者どものこと。本書は、小説家・京極夏彦が、盟友である多田克己、村上健司と、妖怪という文化現象について語り尽くした、七時間の全記録である。三人はバ…

【百鬼丸という子ども・③】

さて「百鬼丸」は着物の模様も何かの暗喩ではないか、と昔から考察されていました。 ① 錨 ( 怒り ) ②スペード ( 剣 ) ③性別記号 ( マスキュラ ) ④イカリハンミョウ 散見される考察は、この四つでしょうか、 ①は錨が “ 怒り ” と絡めて考察されているのを拝見…

【 マンガの中の障害者たち -表現と人権- 】 永井哲著 解放出版

【 マンガの中の障害者たち -表現と人権- 】 永井哲著 解放出版 1998年7月2日発行 マンガの中にいろいろな形で登場する “ 障碍者 ” その描かれ方を点検・分析しながら紹介した一冊。《 間違った内容を間違ったまま覚えてほしくない、本当のところも知ってほ…

【百鬼丸という子ども・②】

真面目に当ブログをご覧になっている方からお叱りを受けそうなネタでございますが、 昔からある『どろろ』の謎に「百鬼丸は魔物に身体四十八箇所を奪われているが、股間は大丈夫であったのか?」という、「アニキの股間問題」があります。 私が現役のちびっ…

【百鬼丸という子ども・①】

【 どろろ 秋田文庫1巻 : 解説 呪いと祓い ー 百鬼丸の運命 荒俣宏 】 《 手塚治虫の『どろろ』は昭和四三年に週刊まんが誌に登場した。大学紛争に端を発した動乱が、混乱のきわみに近づこうという時代でちょうど『どろろ』の舞台となった乱世に似ていた。…

ブラック・ジャック、ロボトミー抗議事件・⑤ 雑感まとめ

-どのように問いを立て、考えるのか? 【 マンガ環境・現代風俗’93 発行:リブロポート マンガと差別 灘本昌久 】 《 青い芝の会の人たちが指摘する第二の点、すなわち手塚が「障害者を健全者に同化すべき者として描」いたということが、問題の指摘としては…

ジャングル大帝、黒人差別抗議事件・⑤ 雑感まとめ

今回、『ジャングル大帝』黒人差別表現問題について調べていたので、『ちびくろサンボ』絶版についての記事も多く拝見しました。黒人差別表現問題といえば『ちびくろサンボ』というぐらい、当初問題になったサンリオのキャラクター「サンボ&ハンナ」やヤマト…

ジャングル大帝、黒人差別抗議事件・④

【『ジャングル大帝』は黒人差別だったのか?】 この一連の「黒人差別表現抗議事件」当時に、 【 がちゃぼい一代記 】※の一場面を取り上げ、手塚氏も黒人に対する差別意識を持っていた、と手塚プロダクションに抗議する人もいたそうですが、【 誌外戦 】で松…

ジャングル大帝、黒人差別抗議事件・③

こうして、一年間出荷停止となっていた講談社の『手塚治虫漫画全集』も “ 読者の皆様へ ” と解説文をつけて、1992年3月から出荷再開となり、他の出版社もその流れに追随する形で解説文・注釈をつけて出荷を再開した。多くの手塚漫画が絶版になる危機は回避さ…

『どろろ』は妖怪マンガか? 【 妖怪の理、妖怪の檻 】

【 妖怪の理、妖怪の檻・京極夏彦著 角川書店、2007 】 ― 本当はみんな知っている。“ 妖 怪 ” とはなんなのか。 《 知っているようで、何だかよくわからない存在、妖怪。それはいつ、どうやってこの世に現れたのだろう。妖怪について深く愉しく考察し、つい…

ジャングル大帝、黒人差別抗議事件・②

【 封印作品の闇 -悲しい熱帯・ジャングル黒べえー 著者:安藤健二 】で、当時「黒人差別をなくす会」の抗議を受けて、講談社・手塚プロダクションが、どのような対応をしていたのか? 詳細に語られていたのでご紹介します。 《 元講談社法務部長・西尾秀和…

ジャングル大帝、黒人差別抗議事件・①

【 抗議事件までの経緯 】 1988年8月、関西在住の有田氏とその家族が「黒人差別をなくす会」を結成。一般に販売されている黒人のキャラクターグッズ・人形が「①まん丸で大きな目で、②大きく厚く誇張された唇、③ずんぐりと太った体型」に表現されており、黒人…

ブラック・ジャック、ロボトミー抗議事件・④

【 封印作品の謎 -禁じられたオペ- 著者:安藤健二 】より、 《 手塚プロダクション:松谷孝征社長、インタビュー 》 ― 二作品が未収録となっている理由はなんでしょうか? 「生前、手塚治虫は単行本収録作品は自分で選んでいました。ですから、残った作品が…

ブラック・ジャック、ロボトミー抗議事件・③

抗議記事が朝日新聞に掲載された約3週間後の1977年2月10日に、手塚プロダクション・秋田書店、連名での謝罪文が大手各新聞誌に掲載された。 《 おわび:秋田書店発行の週刊少年チャンピオン( 一月一日号 )に掲載された、手塚治虫作『ブラック・ジャック』…

ブラック・ジャック、ロボトミー抗議事件・②

《 抗議事件に至るまでの背景 》 【 ロボトミー手術とは ? 】 統合失調症など精神疾患の治療に用いた外科的手技の一種。脳の前頭葉白質の一部を切除して神経経路を切断する外科手術、前頭葉白質切截術。統合失調症・双極性障害をはじめとする精神疾患をもつ…

ブラック・ジャック、ロボトミー抗議事件・①

【 手塚マンガにクレーム「ロボトミーを美化」・朝日新聞・1977年1月17日付夕刊 】 《 少年マンガの第一人者といわれ、医学博士でもある手塚治虫氏の医学SFマンガが、障害者団体や支援グループから厳しい批判を受けている。問題になっているのは週刊マンガ雑…

悪書追放運動 その10 【雑感まとめ】

「悪書追放運動」とは? Wikipedia、「悪書追放運動」より、 《 悪書追放運動 ( あくしょついほううんどう ) とは、ある書籍や文書を「悪書」と定義し排除しようとする運動である。 権力者による言論弾圧の一環として行われる他、言論と表現の自由が保障され…

悪書追放運動 その9

【 悪書追放運動:時系列まとめ 戦後~1970年代 】 戦後の民主化によって、戦前・戦中の出版法や治安維持法などの言論統制による図書検閲は無くなり、大衆娯楽に自由化の波が押し寄せた。当時、娯楽に飢えていた人々は、雑誌・映画などの大衆娯楽を歓迎した…

悪書追放運動 その8

【手塚治虫、斯く闘えり】 『ガラスの地球を救え』 著:手塚治虫 発行:光文社 「思えば、『鉄腕アトム』を描きはじめた昭和二十六、七年ころは、ものすごい批判が教育者や父母から集中し、「日本に高速列車や高速道路なんて造れるはずがない」とか、「ロボ…

【手塚治虫キャラクター図鑑・5】

『手塚治虫キャラクター図鑑・5』 1998年12月1日発行 発行:朝日新聞社 監修:手塚プロダクション 構成・文:池田啓晶 「三つ目がとおる」とおかしな奴ら編・「陽だまりの樹」と歴史の群像編 手塚ワールドがひと目で分かる !! 写楽保介、和登千代子、オクチ…

悪書追放運動 その7 【やけっぱちのマリア】

【 講談社・手塚治虫漫画全集『やけっぱちのマリア』あとがき 】 「やけっぱちのマリア」は、まあ、いわばキワモノです。ちょうど、この当時子どもの性教育の見なおしが叫ばれ、「アポロの歌」の解説でもかきましたが、少年誌に大胆な性描写やはだかが載りは…